投資信託の積立投資は、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指す人にとって、長期的な資産形成の王道ともいえる手段です。少額から始められ、時間を味方につけて着実に資産を増やしていくこの方法は、忙しい現役世代にとっても継続しやすい投資スタイルといえるでしょう。
その中でも近年注目を集めているのが、「クレカ積立」という仕組みです。これは、投資信託の購入代金をクレジットカードで決済することで、積立投資とポイント還元の“いいとこ取り”ができる非常に効率的な方法です。
クレカ積立では、事前に設定した金額で毎月自動的に投資信託が買付され、その際の決済がクレジットカードを通じて行われます。この時、カード会社によっては購入金額に応じてポイントが付与されます。つまり、積立投資をしながらポイントも獲得できるという、一石二鳥の仕組みなのです。
たとえばSBI証券では、三井住友カード(NLカード)を使ってクレカ積立を行うことで、0.5%〜最大3.0%のVポイントが還元されます。これは、毎月10万円を積み立てた場合、年間6,000円〜最大36,000円分のポイントがもらえる計算です。これらのポイントは日常の買い物や他の投資商品への交換などにも活用でき、投資効率を高める強力なツールとなります。
このように、クレカ積立は投資初心者でも始めやすく、資産形成を後押ししてくれる心強い味方です。
クレカ積立の仕組み
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毎月、SBI証券の設定に従って自動的に指定した投資信託が買付されます。これは「定額自動買付」とも呼ばれ、投資家が事前に選んだファンドと金額に基づいて行われます。
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買付の際の代金は、あらかじめ登録したクレジットカードよりクレカ決済として引き落とされます。引き落としは通常、カード会社の締日・支払日に準じて行われるため、現金が即座に必要になるわけではありません。
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毎月の積立額に応じて、Vポイントが還元されます。付与されるポイント数はカードの種類によって異なりますが、0.5%〜最大3.0%です。ポイントは翌月末ごろに自動的に付与され、Vpassアプリなどで確認可能です。
この仕組みにより、資産形成を自動化しながら、同時にポイントも貯めることができるという一石二鳥の投資方法が実現します。
こんな方におすすめ!
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投資初心者で、NISA口座を使って積立投資を始めたい方
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少しでもお得に投資をしたいと考えている方
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自動で積み立てができる仕組みを整えて、手間なく続けたい方
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将来の資産形成やFIREを目指している方
クレカ積立のメリット
1. Vポイント還元があるから実質利回りが上がる!
毎月10万円のクレカ積立を1年間行うと、0.5%還元でも年間6,000ポイント(6,000円相当)が戻ってきます。これを10年間続けると、元本とは別に6万円分のポイントが貯まります。ポイントは日常の買い物に使えるので、実質的な投資利回りの底上げになります。
2. 完全自動化でラク!
一度設定すれば、毎月の積立は完全に自動で進みます。買付日も固定なので、資金管理もしやすく、精神的な負担が減ります。
3. NISA口座と組み合わせることで税制メリットも享受
新NISA制度では、つみたて投資枠・成長投資枠の合計で年間360万円、非課税で運用できます。クレカ積立をNISA口座で行えば、ポイント還元+非課税運用というダブルの恩恵を受けられます。
NISAにおけるクレカ積立の注意点
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毎月の支払いは「後払い」なので、クレジットカードの利用枠を確保する必要があります
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積立額は月10万円までという上限がある(成長投資枠と併用が前提)
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クレジットカードの還元率はカードの種類で異なる
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SBI証券のNISA口座でのみ利用可能
設定方法の解説
1.SBI証券の口座を開設
まだ口座を持っていない方は、まずSBI証券の公式サイトから口座開設を行いましょう。NISA口座も同時に申し込むことができます。
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本人確認書類の提出(スマホで完結)
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マイナンバーの入力
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初期設定を完了させる
2.三井住友カード(NLカード)を作成
SBI証券のクレカ積立に対応している三井住友カードは以下のとおりです。
カード種別 | 年会費(税込) | 還元率(SBI証券クレカ積立) |
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NLカード(一般) | 永年無料 | 0.5%(年間10万円以上)※初年度無条件 0%(10万円未満) |
ゴールドNLカード | 年会費5,500円(税込) ※年間100万円以上の利用で翌年以降、永年無料 |
1.0%(年間100万円以上) 0.75%(年間10万円以上) 0%(10万円未満) |
プラチナプリファード | 年会費33,000円(税込・永年) | 3.0%(年間500万円以上) 2.0%(年間300万円以上) 1.0%(年間300万円未満) |
三井住友カードNLの支払いに指定する銀行口座は、住信SBIネット銀行以外も選択可能です。つまり、日常的に使用しているメインバンクや給与振込口座(たとえば三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など)も登録でき、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に対応できます。
3.:SBI証券の「クレカ積立」設定
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SBI証券のマイページにログイン
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「投信」→「投信積立」→「クレジットカード積立設定」
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対象の三井住友カードを登録
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投資したい銘柄(例:eMAXIS Slim 全世界株式、S&P500など)を選択
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積立金額を「最大10万円」まで設定(1円単位でOK)
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「NISA口座で積立を行う」にチェックを入れる
おすすめ銘柄の紹介
eMAXIS Slimシリーズは、信託報酬の低さに加え、安定した純資産残高や高い評価実績で人気を集めています。投資初心者の方に人気が高いのは以下の2本です。
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eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
→ 世界中の株式に分散投資。初心者に最適な「1本で完結型」→信託報酬が0.05775%(税込)程度と非常に低コスト
→純資産総額も1兆円を超えており、投資家からの信頼度も高い
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eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
→ アメリカ経済の成長に期待したい人に人気。運用コストも低水準→信託報酬が0.09372%(税込)程度と非常に低コスト
→長期で見ても指数に連動した安定的なパフォーマンスを発揮
どちらも「信託報酬が業界最安クラス」で、長期保有に向いています。
長期で見るとどれくらい差が出るの?
たとえば、以下のように投資を行った場合…
条件 | 内容 |
積立額 | 月10万円(年間120万円) |
運用利回り | 年5%(仮定) |
期間 | 20年間 |
クレカ還元 | 0.5%(年間6,000円分) |
シミュレーション結果(ざっくりと):
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運用資産:4,095万円前後(20年後)
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ポイント総額:12万円相当(20年間)
ポイントだけで見れば少額ですが、もしポイントも複利で再投資されていたら、最終的に15万円以上の価値になる可能性もあります。
よくある質問(Q&A)
Q1. クレカ積立は途中でやめられる?
→ はい、いつでも変更・停止が可能です。積立の一時停止や銘柄の変更も可能で、SBI証券のマイページからいつでも簡単に手続きできます。
Q2. ポイント還元はいつ付与される?
→ 積立月の翌月末頃に自動付与されます(Vpassアプリで確認可)。付与されたVポイントは日常の買い物や、他のポイントサービスへの移行、投資信託の追加購入などにも利用可能です。
Q3. カードの利用明細にはどう表示される?
→ 通常のショッピングと同じように「SBI証券積立」などの表記になります。ほかの買い物と同様に、支出の内訳として明細に表示されるため家計管理にも役立ちます。
Q4. 他の家族名義のNISA口座にクレカ積立できる?
→ いいえ、クレジットカード名義と証券口座名義は一致している必要があります。たとえば夫のカードで妻のNISA口座に積立することはできず、それぞれ本人名義の口座とカードを使用する必要があります。
まとめ:クレカ積立は「お得で手間なし」な投資習慣
SBI証券と三井住友カード(NLカード)を使ったクレカ積立は、
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非課税で運用できるNISA制度に対応しており、運用益に税金がかからないため長期的な資産形成に非常に有利です。
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毎月自動で積立が行われるため、投資のタイミングに悩まず、感情に左右されずに継続できるのが大きな魅力です。
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クレジットカード決済によるVポイント還元があることで、実質利回りが向上し、同じ金額を投資してもより多くの資産を得られる可能性があります。
この3つのメリットがそろったクレカ積立は、投資初心者にとってはハードルが低く、経験者にとっても効率のよい投資手段です。また、日々の支出を通じてポイントを資産形成に活用できるという点でも、節約志向や家計管理に関心のある方にも非常にマッチします。
これから投資を始めたい方も、すでにNISAを活用している方も、より効率的に・より簡単に・よりお得に資産形成を進める手段として、ぜひこのクレカ積立を日常の投資習慣に取り入れてみてください。