FIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指すうえで、多くの人が注目するのは投資や生活費の最適化ですが、意外と見落とされやすいのが保険の見直しです。現役時代は「もしもの時のため」に多くの保険へ加入し、安心を買っている人がほとんどだと思います。しかし、保険は加入したら終わりではなく、毎月の支払いが続く固定費です。保険料を払い続けることは安心感を得る代わりに、資産寿命を縮める可能性があります。FIRE後は、働いて収入を得る生活スタイルではないため、固定費の削減こそが最も大きな防御策になります。
そこで今回は、私自身がFIRE後に実践している保険の最適化戦略を紹介します。この記事を読むことで、以下の疑問が解消されます。
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FIRE後に保険は必要なのか?
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どんな保険を残して、どんな保険は解約すべきか?
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住民税非課税世帯になると医療費はどれくらい減るのか?
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最低限の保険だけで本当に安心できるのか?
ぜひ最後まで読んで、資産寿命を伸ばすための参考にしてください。
FIRE後に保険を見直すべき理由
① 収入を担保する保険は不要
FIREとは働かなくても生活できる状態を指します。つまり、生活費を投資収益などの不労所得で賄える状態です。そのため、現役時代に加入していた以下のような保険は役割を失います。
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収入保障保険
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就業不能保険
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高額な生命保険
これらは「病気や怪我で働けなくなった、家族を残して死亡したときの収入減少を補う」ための保険です。しかし、FIRE後は働かなくても生活できるのが前提。そのため、加入し続ける理由はなく、支払い続けるのは完全なムダです。
② 投資効率の悪い保険は不要
保険会社が販売する積立型保険、
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年金積立保険
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終身保険(貯蓄型保険)
これらは「保険」という名前ですが、本質は投資商品です。しかし、運用利回りは非常に低く、多くの場合は年利0.5%〜1%程度。インフレが起きれば実質マイナスになることもあります。FIRE後に投資効率の悪い金融商品へ新しく資金を入れる必要は全くありません。投資はインデックスファンド1本で十分です。
FIRE後に本当に必要な保険は?
以下に保険の必要性についてまとめました。
| 保険の種類 | 必要性 | FIRE後の考え方 |
|---|---|---|
| 医療保険 | △ | 最低限でOK。医療費が大きい時は高額療養費を利用 |
| がん保険 | × | 原則不要。高額療養費制度で月上限が決まっている |
| 収入保障・就業不能保険 | × | 不要 |
| 生命保険 | △ | 子育て終了なら不要。必要なら最低限 |
| 自動車保険 | ◯ | 必要。万が一の事故は家計破壊レベル |
| 火災保険 | ◯ | 必要。自宅の災害リスク対策として |
がん保険については原則不要と考えます。ただし、先進医療・差額ベッド代・収入減少など、高額療養費制度の対象外コストもあるので、人によっては残す選択肢もあるかもしれません。
医療保険は最低限でOK、がん保険は原則不要と私が考える理由は次の通りです。
住民税非課税世帯なら医療費負担は大幅軽減
FIRE後に支出を最小化する大きなポイントが住民税非課税世帯になることです。住民税非課税世帯になると、
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国民健康保険の保険料が減額されて最低レベルとなる
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国民年金が自治体への申請で全額免除になる
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高額療養費制度の自己負担限度額が大幅に下がる
特に重要なのが高額療養費制度です。住民税非課税世帯の場合、医療費の月額上限は69歳以下の場合で35,400円程度。つまり、仮にガン治療で数百万円かかったとしても、患者本人の負担は最大3.5万円/月程度に抑えられるということになります。ただし、保険適用分のみが対象で、差額ベッド代や食事代などは別負担であることには注意が必要です。
多額の医療費を支払うケースは実は少ない
統計的に見ても、医療費を長期間にわたり高額な自己負担が続くケースはそこまで多くはありません。むしろ、日常的に発生する数千円〜数万円の医療費が中心で、それらは貯蓄または共済で十分対応できます。ですので、
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がん保険
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高額な医療保険
これらは固定費を削減するために加入しなくても良いと考えます。
FIRE後の保険は「都道府県民共済」がおすすめ
FIRE後の保険としておすすめなのは、私自身も加入している都道府県民共済です。
おすすめポイント
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月額2,000円程度の低負担
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毎年割戻金があり実質負担はさらに低い
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プランがシンプルでわかりやすい
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医療保険+生命保険を最低限カバー可能
無駄な特約がほとんどないため、初心者でも迷うことはありません。「安心のために最低限だけ保険を持つ」というFIRE向けの考え方に最適です。
保険に頼りすぎないための考え方
保険に加入するかどうかは、「リスク=確率×ダメージ」で考えると非常にシンプルになります。
リスク = 確率 × ダメージ
| 事例 | 確率 | ダメージ | 対応 |
| 自動車事故/災害 | 低 | 大 | 保険で対応 |
| 病気/ケガ | 中 | 小 | 自費、共済、高額療養費制度で対応 |
| ガン | 低 | 大 | 高額療養費制度で対応 |
つまり、保険は「生活破壊レベルの損失を防ぐためのもの」であり、「少額の出費を保険で対策しようとする」のは逆効果です。
まとめ
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FIRE後は保険で安心を買うより、貯蓄と制度で守るへ発想を転換する
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不要な保険の解約で固定費を劇的に削減
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シンプルに「共済+自動車保険+火災保険」だけで十分
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保険は資産寿命を短くする最大の固定費の一つ
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FIRE達成後こそ保険の見直しは最優先課題
私自身、以前は多数の保険に加入しており、月々の保険料だけで2万円以上支払っていました。しかし、FIRE後に徹底的に見直した結果、現在の支払いは、共済+自動車保険+火災保険のみで月約5,000円です。もしあなたも
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支出を減らしてFIREに近づきたい
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FIRE達成後に資産を長持ちさせたい
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無駄な保険料を払いたくない
と感じているなら、今日から保険の棚卸しをしてみてください。資産を守る最大の武器は「安心ではなく、確かな知識」です。この記事があなたのFIREへの道に役立てば嬉しいです。
